217 父娘の初対面、感情崩壊（3更）

盛山誠章は眉をひそめ、娘の写真を見つめ続けた。自分の娘を抱きしめたその男については、あまり気にも留めなかった。「中に彼の資料があるのか？後でもう一度見直してみよう」

「詳しく見る必要はありません。その人は...ご存知の方です」

「何だって？」

妻の精神状態が悪くなってから、南方で療養生活を送るようになって十数年。帝都の人々や出来事については、ほとんど記憶が薄れていた。

まして自分の娘と同年代の若い世代なんて、なおさらだ。

「賀川家のことは覚えていらっしゃいますか？」

「彼女は賀川洵と結婚したのか？」盛山誠章は眉をひそめた。

「...」

「あいつは彼女より一回り上だろう。若い子に手を出すとはな」賀川洵は自分の息子と同じくらいの年齢だった。

盛山若社長は頭が痛くなった。「違います」

「じゃあ誰だ？」

「彼の甥です」

盛山誠章は感情が高ぶっていたうえ、賀川家のことをほとんど忘れていたため、思わず口走った。「甥？まだ幼稚園児じゃないのか」

言い終わってから、はっと気づいた。「どの甥だ？」

賀川家には孫がたくさんいた。

「賀川礼です。以前お会いした時、礼儀正しくて賢い子だとお褒めになって、お菓子まで贈られたじゃないですか」

盛山誠章はようやく思い出した。

息子の大会の表彰式に出席した時、賀川家はほぼ全員が来ていた。

賀川礼はまだ幼く、静かに座っていて、若いのに大人びていた。母親が亡くなったと聞き、自分も娘を失ったことを思い出し、より一層愛おしく感じた。

普段は人付き合いを好まない彼が、珍しく声をかけた。

だから印象に深く残っていた。

「あぁ、あの子か」盛山誠章は恍惚としながら言った。

自分の娘が巡り巡って賀川家に嫁ぐとは思いもしなかった。

——

病院内

事情を知らない江口晗奈は、鐘见寧のために暇つぶしの小物を買ってきて、病院に着くと、この件について話し始めた。

「本当に驚いたわ。単なる民事トラブルなのに、盛山若社長のお父様が警察署まで直接来られて、あの迫力といったら、本当に怖かったわ！」

「盛山若社長のお父様が来られたの？」鐘见寧は驚いた。

自分のことで？