湯川俊夫は甥を見つめ、怒りが込み上げてきた。普段はどれだけ叩いても反応すらしない、いつも不機嫌な顔をして、何を言っても聞く耳を持たないこの小僧が。
最近は話も多くなり、人を怒らせるようになった。
妹を取り戻したせいで、性格まで変わってしまったのか。
「おじさん、この件は遅かれ早かれ両親も知ることになります。寧ちゃんが責められるのを望んでいるんですか?」盛山庭川は率直に言った。
「道徳で私を縛ろうというのか?」湯川俊夫は厳しい表情を浮かべた。
「あなたは年長者です」
鐘见寧は呆然としていた。
普段から……
こんな風に会話しているのだろうか?
湯川俊夫は黙ったまま、再びカメラを拭き始めた。
盛山庭川は妹に目配せをし、鐘见寧は慌てて位置を移動して、お茶を差し出した。「おじさん、お茶をどうぞ」