盛山文音は元々この菅野お嬢さんが綺麗だと思っただけだったが、今や彼女が自分の兄の後輩だと知り、より親しみを感じ、家に招待したものの、丁重に断られた。
家に帰ってから、兄にこの件を話した。
盛山庭川は眉間を揉みながら言った。「君が言わなければ忘れていたよ。この前彼女が来た時に挨拶もしなかったな。」
今思えば、本当に失礼だった。
「お兄ちゃん、菅野お嬢さんとは親しいの?」
「彼女はセンスがあったんだが、残念ながらインテリアデザインを選んでしまった。分野が違うし、彼女は留学したこともあって、ここ数年はあまり付き合いがない。以前は仲が良かったんだけどね。」
「家のインテリアデザインを彼女にお願いしたいんだけど、いいかな?」
「もちろん、君が良ければいいよ。」
盛山庭川は妹を甘やかしていたので、彼女の要望は当然すべて受け入れた。
さらに言った。「今度、彼女を家に招待しよう。」
——
菅野望月は先輩からの招待を即座に承諾した。
わざわざたくさんの贈り物を買って、湯川千秋は以前ずっと夏都で療養していたため、彼女に会うのは初めてで、この可愛らしい娘を見て喜び、特に息子の方をちらちらと見た。
盛山庭川は母の心中を見抜いて言った。「母さん、彼女は妹のように思っているんだ。余計な取り持ちはしないでください。」
「分かってるわよ。」
息子のこの一言で、湯川千秋は納得し、ただ彼女を部屋の中へと案内した。
今や娘も見つかり、家に心配事もない。
湯川千秋は自身のデザイン仕事の他、当然息子のことも考え始めた。
仕事は問題なく、容姿も悪くないのに、いつまでも彼女を作らない。母親として気に入った娘を見かければ、自然と注目してしまう。
デザインを学んでいたこともあり、共通の話題が多かった。
賀川礼が盛山文音を盛山家に送り届けた時、この菅野お嬢さんを見て心中驚いたが、表情には出さなかった。
ただ静かに叔父にメッセージを送った:
【あなたの恋人を見かけました。】
賀川洵:【どこで?】
【盛山家旧邸です。】
……
会話から、賀川礼は菅野望月と盛山庭川の特別な関係を知った。
叔父さんはなかなかやるな。
よりによって宿敵の身近な人に手を出すとは。
この様子では、この義理の兄は全く知らないようだ。