約束した乗馬の日は、天気が良かった。
陽光が降り注ぎ、地面は黄金色に染まっていた。
松本雨音は自分で車を運転して行ったが、交通状況を見誤り、約束の時間より20分以上遅れてしまった。スタッフに案内され、乗馬クラブの詳細な説明を受けた。
「……寒い時期なので、現在は室内馬場のみ開放しています。2階にはプール、ジムもあります。湯川さんたちは既に馬を選んでいますので、まずは着替えにご案内します」
更衣室に行くには、室内馬場を通らなければならなかった。
松本雨音は初めてこのような場所に来たので、何もかもが珍しく感じられた。
馬場には多くの人がいて、子供たちもいた。
そのとき、遠くから馬に乗った男性が彼女の方へ近づいてきた。
数メートルの距離で、彼は手綱を引いて馬を制御し、高みから彼女を見下ろした。