約束した乗馬の日は、天気が良かった。
陽光が降り注ぎ、地面は黄金色に染まっていた。
松本雨音は自分で車を運転して行ったが、交通状況を見誤り、約束の時間より20分以上遅れてしまった。スタッフに案内され、乗馬クラブの詳細な説明を受けた。
「……寒い時期なので、現在は室内馬場のみ開放しています。2階にはプール、ジムもあります。湯川さんたちは既に馬を選んでいますので、まずは着替えにご案内します」
更衣室に行くには、室内馬場を通らなければならなかった。
松本雨音は初めてこのような場所に来たので、何もかもが珍しく感じられた。
馬場には多くの人がいて、子供たちもいた。
そのとき、遠くから馬に乗った男性が彼女の方へ近づいてきた。
数メートルの距離で、彼は手綱を引いて馬を制御し、高みから彼女を見下ろした。
気品があり冷淡な表情で、黒い乗馬服に金色のボタンが控えめに輝き、上品な贅沢さを醸し出していた。馬に乗る動作に合わせて服が体にフィットし、優雅さと張りのある姿を見せていた。
かすかに、彼の服の下の筋肉さえ感じられ、力強さに満ちていた。
視線が合うと、盛山庭川は馬から身を翻して降り、馬を引いて彼女の方へ歩いてきた。
黒い刺繍入りのハーフグリップパンツに乗馬ブーツを合わせ、優美で長い脚を際立たせていた。これは……
子供体型なんかじゃない!
この脚は、
本当に長くて、本当に綺麗だ。
一目で引き締まっていて力強いのが分かる。
そしてこの腰も……
なかなかいい!
湯川叔父は一体どこから彼をガリガリ体型だと見たのだろう。
「今来たところ?」盛山庭川は手で馬を撫でながら、さりげなく尋ねた。
「はい、少し渋滞していまして」
「早く着替えてきなさい」
松本雨音は頷き、スタッフに導かれて更衣室へ向かった。振り返ると、盛山庭川が軽々と馬に跨る姿が見えた。その仕草は特に格好良く、あの顔立ちと相まって、まさに完璧だった。
誰でも思わず何度も見てしまうはずだ。
松本雨音は内心焦りながら、歯を噛んだ:
冷静に!
男の色気に惑わされてはいけない。
この世には男はいくらでもいる、彼はただ少しイケメンで、少し背が高くて、少し体格がいいだけじゃない。