484 大芝居(3)対峙、狂犬の噛み合い

やはり町田克純が口を開いた。「湯川社長、彼女は間違ったことをしたのだから、法律が彼女を裁くでしょう。あなたが自分を危険に晒す必要はありません」

湯川俊夫は彼を冷ややかに一瞥し、足を緩めた。盛山漱花がやっと息をついたところで、思いがけず彼は再び足を上げた——

彼女の腕を蹴り上げた!

痛みで彼女の体は縮こまり、鋭く冷たい息を吸い込んだ。

湯川狂人!

「安心しろ、私はお前のために手を汚したりはしない。お前は彼女と対峙したいと言っただろう?今すぐ叶えてやろう」湯川俊夫は手を叩いた。

入り口近くでざわめきが起こった。

皆が振り向くと、

湯川千秋の口から「死んだ」と言われていた羽沢彩乃が——

生き返ったように現れた!

「これはどういうことだ?さっき盛山奥様は彼女が死んでいるかもしれないと言っていたのに、どうしてここにいるんだ?」