分娩室の外
盛山文音は不安を隠せず、大きなお腹を抱えながら行ったり来たりと歩き回っていた。樱庭司真は一時的な混乱の後、数本の電話をかけ、両親と義母に知らせ、予約していた産後ケアセンターに連絡して入居の手配をした。
家の使用人に連絡し、出産準備の荷物を持ってくるよう指示した。
「少し座って休んだら?慌てることはないわ。医師も適切なタイミングで来たって言ってるし、きっと順調に、無事に進むわ」松本雨音は盛山文音を慰めながら、表面は落ち着いているものの、内心は焦っていた。
彼女はこのような経験をしたことがなく、
江口晗奈から破水したと聞いた時、頭皮がピリピリした。
最も重要なのは、当事者の江口晗奈が特に落ち着いていたことだ。
彼女はずっと「怖がらないで、ゆっくり運転して」と言っていた。