秋月策人番外(1)痴漢、汚されてしまった

春光三月

梅の実は青く、梨の花は雪のよう、草と水は同じ色。

会議室で、秋月策人は退屈そうにあくびをしながら、春の眠気と秋の疲れを感じていた。大きく一口のコーヒーを飲んでようやく気力を保った。これは栄田氏の代表との5回目の面会だった。

以前、盛山庭川の結婚式で、彼は栄家坊ちゃに協力の意思を示していた。

二ヶ月後、双方は正式に協力について話し合うことになった。

秋月策人は毎回の商談に出席したが、栄田家のあの人物は一度も姿を見せなかった。

彼は正月にゴシップ記事で見かけた:

【栄田若様、新しい恋人とM国で、美人の一笑みのために数千万円のクルーザーをチャーター】

秋月策人は鼻で笑った:

あいつの生活は、本当に華やかだな!

新しい恋人と遊ぶ暇はあるのに、ビジネスは顧みない。あの野郎が古代にいたら、間違いなく酒色に溺れる昏君だったろう。

薄情で冷たい顔つきをしているくせに、意外と多情な遊び人だったとは。

まさに人は見かけによらないものだ!

商談が終わり、秋月策人は友人と食事の約束をした。

「栄田家のあいつ、またも来なかったのか?あいつが滅多に姿を見せないって聞いていたが、多くの商談は代理人に任せているらしい。ただ、二年前の盛世との融資の時だけは、全て自分で采配を振るっていたようだが」

「あいつは一目見て扱いにくそうだ。全然群れないタイプだ」

「業界でも友達はほとんどいないらしい。変わってるよな」

「あいつだけじゃない、栄田家全体が変わってる。同じ帝都にいるのに、私たちとほとんど付き合いがない」

「坊ちゃん、あいつと君は正反対だな。あいつは冷たそうに見えて実は遊び人、君は遊び人に見えて実は純情」

遊び人?秋月策人は言葉を失った。

……

みんなが話している時、秋月策人の携帯が振動した。意外にも祖父からの電話だった。家族には今夜は顧客との面会があると言っていたので、外で遊んでいることがバレたら、きっと説教されることだろう。

彼は急いで個室を出て、人気のない場所を見つけた。「もしもし、おじいちゃん」

「どこにいる?」

「皇居です。お客様と会っています。お話ししたとおりです」

「本当か?わざと私を避けて、帰りたくないんじゃないのか?」