第20章 彼女が言ったなら、お前が言ったことになる

「時、時枝さん!落ち着いてください!」どんな大仕事も経験してきた園田一帆も、驚きのあまり声が震えた。

また何かおかしくなったのか?

数日前に良くなったと思ったのに、また元の調子に戻ってしまったのか?

でも以前は暴れても物を壊したりはしなかったのに!

しかし時枝秋は彼の言葉など全く耳に入れず、まるで狂ったかのように、もう一つの唐宋彩釉陶器の花瓶をテレビに向かって投げつけた!

園田一帆は驚愕し、後悔した!

藤原様が書斎のテレビを壊したことを時枝秋に話すべきではなかった!

今、藤原様が追及してきたら、自分の人生は完全に終わりだ。

時枝秋は手が疲れるほど物を壊し、ようやく階段の角に藤原修の長い脚が見えているのに気付いた。

彼女は園田一帆の襟首を掴み、目を赤くし、瞳には大粒の涙が溜まった。

園田一帆は困った顔で:「これは一体どういうことですか?天地神明に誓って、私は何もしていません!」

時枝秋は声を詰まらせ、深く傷ついた様子で、園田一帆の首を揺さぶりながら:「誰が『失せろ』は藤原修に向けて歌ったって言ったの?私がどうして夫にそんな歌を歌うの?園田秘書、どうしてそんなことを言うの?うぅぅぅ、あれは私と小林凌との決別なのに、どうして信じてくれないの!小林凌のファンでさえ分かってるのに!」

園田一帆は悲しみのあまり立っているのもやっとの時枝秋を支えようとしたが、触れる勇気もなく、ただ自分が風雨の中で揺れるままにするしかなかった。

天地神明に誓って、彼はそんなことを言った覚えは全くない。

「時枝さん……誤解されているようですが、私は……」

「どうしてそんなことを言うの?うぅぅぅ、小林凌のファンは私を罵るし、あなたたちも私を誤解するし、私……」時枝秋は話しながら、まるで演出のようにぽろぽろと涙を流した。

彼女の輝く瞳から、真珠の首飾りが切れたかのように涙が零れ落ち、見ている者の心を痛ませた。

藤原修は大股で時枝秋の方へ歩み寄った。

時枝秋の涙に映る姿は、星月を従えた気高く禁欲的な様子で、ゆっくりと確かな足取りで近づいてきた。

時枝秋は園田一帆から手を離し、藤原修の胸に飛び込んで、すすり泣きながら言葉も出なかった。