彼女は時枝秋のことをよく分かっていた。小林凌に関することなら、時枝秋は騒ぎ立てないだろう。
案の定、時枝秋は騒ぎ立てるどころか、それらの内容は自分とは全く関係ないと、とても分別のある発言をした。
小林凌が彼女の曲を使ったことで、今頃きっと喜んでいられないほど嬉しいはずだ。
木村雨音は心の中で嘲笑った。「作曲ができたところで何になる?結局私に利用されるだけの馬鹿じゃない」
……
翌日、時枝秋は荷物をまとめ、番組のバックステージに戻って歌の練習をした。
珍しく彼女がこんなに早く練習に来たのを見て、多くのスタッフは口を尖らせた。明らかに彼女が小林凌に会いに来て、小林凌のニューアルバムの喜びを分かち合いたいのだと思っていた。
結局、今日は小林凌が正式に曲をリリースする日なのだから。