結局のところ、時枝秋に対して、みんなが偏見を持っていた。
彼女の偽令嬢という出自、学業、そのすべてが、アンチの目には文岩薫里の正当性に及ばなかった。文岩薫里が生まれながらに持つお嬢様のオーラは、他のすべてを無視させることができた。
安藤誠はこの騒動を見て、首を振った。「木村裕貴は一体どうやって敏腕マネージャーの地位を得たんだ?こんな情報を流せば時枝秋にどんな影響があるか分からないのか?それに、時枝秋についてのデマまで信じているなんて。彼女がどこでハミルトン音楽学院の人と親交を持てたというんだ?」
外部からの疑問の声が渦巻く中、突然、ハミルトン音楽学院のペンス教授が国内のツイッターを開設したことが判明した!
彼のような地位と身分の人物は、普段から大衆の目に触れることは少なく、まして外国でツイッターを開設するなんてことは考えられなかった。
普段なら、彼がツイッターを開設しても、これほどの注目は集めなかっただろう。
しかし、今はちょうどハミルトン音楽学院が話題の的になっているときで、彼のこの行動は即座にトレンド入りし、多くのコメントが寄せられた。
コメントの大半は文岩薫里のファンからのものだった。
「ペンス教授、ツイッター開設おめでとうございます!」
「心から歓迎します!教授は薫里のためにツイッターを開設されたんですよね?」
「ローズちゃん、あなたの教授を見に来て!@ローズちゃん」
「わあ、歴史的瞬間を目撃しました。ローズちゃんがペンス教授をフォローしました!」
「嬉しい嬉しい!これからはローズちゃんがペンス教授に学ぶ様子が見られるんですね?」
「ペンス教授がまだローズちゃんをフォロバしていませんが、多分ツイッターの機能に慣れていないんでしょう。以下は説明図です。教授、この図を見てフォローしてください!」
時枝秋のファンは確かに気落ちしていた。今回の彼女の不登校の件は、やはり正当な理由とは言えず、みんなもペンス教授の話題には加わらなかった。
アンチは当然、時枝秋を批判する機会を逃さなかった。
文岩薫里のファンと時枝秋のアンチが盛り上がっているとき、みんなはペンス教授が時枝秋をフォローしたことに気付いた!
はっきりと「石ちゃん」という文字が、ペンス教授のフォローリストに表示されていた。
「教授、間違えたんじゃない?」