第211章 日本舞踊協会

時枝秋のダンスは荒削りで、専門的なトレーニングを受けていないのが一目で分かるが、天賦の才と情熱に溢れているのが素晴らしい。

ファンたちはこの美しさを見抜くことができ、画面を食い入るように見つめる人が後を絶たない:「時枝秋の表現力は本当に素晴らしいわ、あの眼差しを見て!」

「そうそう、みんなが言うように私も気づいたわ。どの角度から動画を見ても、私と目が合っているように感じるの。」

「目が合うだけじゃなくて、その眼差しが透き通っていて清らか。まるで私と対話しているみたい。」

「彼女の溢れる情熱と、素晴らしい人生への憧れが伝わってくるわ。」

「あんな粗雑なメイクでも、彼女の輝く瞳は隠せないなんて、本当にすごいわ!」

しかし、この場面には前後の文脈がなく、文岩薫里のものと比べると見劣りするのは否めない。

アンチたちは黙っていられず、大いに揶揄し始めた:「つまり時枝秋は貧しい娘で、文岩薫里は姫様ってこと?」

ファン:「二人とも貧しい娘と姫様の場面があるのよ!」

アンチ:「時枝秋のダンスは文岩薫里と比べものにならないほど下手じゃない?」

ファン:「それは単にシーンが違うから、差が出ただけよ。」

アンチ:「文岩薫里は15年もダンスを習ってきたのに、時枝秋はどれだけ?」

ファン:「……」

アンチ:「文岩薫里は成績じゃなくて、ダンスだけで名門大学に入れたけど、時枝秋のダンスじゃ無理でしょ?」

ファン:「……」

アンチ:「文岩薫里のダンスは専門的な資格を持っているでしょう?長年の実力が素人より上なのは否定できないでしょう?」

ファン(弱々しく):「ただの広告なのに、なぜダンスの実力を比べる必要があるの?意味があるの?」

アンチ:「あなたたちの推しはこんな風に仕事に取り組むんだ。今のエンタメ界がめちゃくちゃになるのも当然だわ。」

アンチたちはいつも的確にファンの痛いところを突いてくる。理屈で話せば事実を持ち出し、事実を示せば感情論を展開し、感情で語れば理性的な議論を始める。

その後、文岩薫里と時枝秋それぞれのメイキング映像がトレンド入りした。

みんなそれぞれ賛否両論だったが、素人目には単なる話題性で、表向きは文岩薫里の勝利に終わった。

この時、日本舞踊協会の内部では、幹部たちがメイキング映像を繰り返し見ていた。