第209章 守護と待機

藤原修の骨ばった長い指が布団を掴み、瞳の奥には激しい波が渦巻いていた。

彼は思った。

でも、できない。

そして、怖かった。

あの時の彼女の拒絶と涙を思い出すたびに、彼の心は激しく震えた。

嫌われるのが怖かった。

去られるのが心配だった。

彼は再び理性と感情の葛藤に陥った。彼女を失うどんな可能性も耐えられなかった。

そんな中、向かい側の時枝秋は何も気付かず、ライトを消して、低い声で言った:「寝ましょう。」

彼女は藤原修が数日間ろくに眠れていないことを知っていた。ヤオランのエッセンスで神経を癒すことはできても、彼の心の病は一向に良くならなかった。

時枝秋がいれば、彼は安らかに眠れる。

暗闇の中では、目が見えないぶん、他の感覚がより一層鋭敏になる。

時枝秋は藤原修の腕が自分の腰に回されるのを感じた。その後は一切動かなかった。