第254章 推薦入学の資格を放棄

「結局大したことではないから、私の職位には影響ないわ。でも、これからは入学試験や推薦入試などの担当はできなくなるけど。心配しないで、どうせそういう仕事はもうやりたくないし、気にしないでね」

龍崎先生は軽く言ったが、これが軽い処罰のはずがない。

入学試験や推薦入試の担当は、昔から教師たちが争う美味しいポストだった。

龍崎先生へのこの処罰は、決して軽いものではなかった。

時枝雪穂もそれを理解していて、何度も感謝と謝罪の言葉を述べ、かなり低姿勢で、ようやくこの件を収めることができた。

電話を切った後、時枝雪穂は怒りで机の上の安い物を全て床に投げ捨てた。

小林佳澄がこんな愚かな行動をするとは思いもよらなかった。当時の物を破棄せずに、時枝秋を陥れようとするなんて!

あの時、問題を記録しておけばよかった。こっそり持ち出すだけじゃなく。

でも、確かにあの時は時間が迫っていて、監視カメラも避けなければならず、写真を撮る時間も機会もなかった。

幸い、時枝雪穂の指導教官が立ち上がって、今回の過ちを引き受けてくれた。小林佳澄側もこれ以上追及する勇気はなく、事態は収まった。

彼女はベッドに崩れるように座り、心の中で小林佳澄のバカ者を罵った!

翌日、小林佳澄の席は空になっていた。彼女は荷物を片付けることもなく、夜のうちに転校してしまった。

小林佳澄がいなくなったクラスでは、小規模な議論が起こっただけだった。みんな受験勉強に忙しく、他人の出来事に気を配る余裕はなく、彼女の転校の話題はすぐに消えていった。

木村裕貴は時枝秋を迎えに行き、IELTSのイベント会場へ向かった。

昨夜の藤原修が送った火鍋の写真を思い出し、木村裕貴は何か言いたかったが、結局何も言わなかった。

IELTSのイベント会場には、当然文岩薫里も姿を見せていた。

今日の彼女の元気は無理して作り出したもので、笑顔は浮かべているものの、気分は決して良くなかった。

無理もない。彼女は推薦入試に合格できなかったのに、時枝秋は二つの大学に合格したのだから。

聞くところによると、清加大学と定戸市大学は今、時枝秋の入学を巡って熾烈な争いを繰り広げているという。両校の学長まで動いているらしい。

しかも、両校とも最高の学部を用意し、時枝秋に自由に選ばせようとしている。