第262章 四合院

これは彼が受け取った中で最も価値のある贈り物であり、最も気に入った金額でもあった。

大島執事が慌てて近づいてきて、「藤原様、時枝さん、鶏小屋にこれがありました」と言った。

厚い布で包まれた重そうな物で、何なのかは分からなかった。

大島執事は手に取って重さを確かめ、勝手に処分するのを躊躇い、持ってくるしかなかった。

時枝秋が布包みを受け取り、開いてみると、中には真っ赤な証書の束があり、時枝秋の目を眩ませた。

不動産権利証?

尾張お爺さんが千以上のお年玉をくれたのに、さらに数軒の不動産まで?

彼女が手に取って開くと、所有者:時枝秋。

住所:定戸市平安通り266番地。

平安通り266番地?

あの定戸市一環と呼ばれる場所ではないか?

普通の小さな家でも8桁の価格がつく場所?

ネットユーザーが言うS国で最も高価な場所で、寸土を金に例えても金の価値を過大評価していると言われる場所だ。

藤原修が一瞥して、低い声で言った。「一軒の家ではない」

「じゃあ何?」時枝秋は不思議に思った。商業施設なのだろうか?

それでも信じられないほど高価だ。

「四合院だ」藤原修が説明した。

時枝秋は手の中の権利証が急に重く感じられた。四合院!それはもう8桁の数字では測れない価値だ!

その価値は計り知れない!

時枝秋がさらに適当にめくってみると、なんと8冊もあった!

四合院だけでなく、商業施設もあり、まさに定戸市の一等地を網羅していた。

つまり、尾張お爺さんは彼女がこんな高価な物を受け取らないことを心配して、わざと鶏小屋に隠して時枝秋自身が見つけるのを待っていたのか?

尾張お爺さんは一体どれほどの価値のある贈り物をしたのだろう?

時枝秋は数年前のことを思い出した。尾張お爺さんが人を通じて鶏やアヒルなどを時枝家に送り、時枝秋と時枝雪穂にそれぞれ分けたことがあった。

時枝秋はその時、心に煩わしさを感じ、見もせずに断った。

当時の彼女は愛情に飢えていて、欲しかったのは家族の思いやりであって、これらの物質的なものではなかった。

彼女は尾張お爺さんからの電話を一本多く受けることや、直接会いに来てくれることの方を望んでいた。ただ物を受け取るだけは望んでいなかった。