しかし、彼女は彼のことをますます見下すようになった。あんなに黒くなってしまったのに、まだ人気が出るなんて不思議だ。
裏に金主がいたからだ。
まさに妖艶な容姿をしている。
時枝秋は席に着くと、一目見ただけで唐沢勇が自分に対して不満な態度を取っていることがわかった。
しかし、ここで実権を握っているのは、目の前にいる熱心な若い女性であることも明らかだった。
時枝秋が目を上げて斎藤心美を見ると、斎藤心美は今度は彼女のあまりにも澄んだ目を見つめ返す勇気がなかった。
自分はファンとしてあまりにも失敗していると感じた。
衝動的に時枝秋を抱きしめただけでなく、職場でもあまりにも非プロフェッショナルな態度を取ってしまった。
時枝秋が自社のアプリの広告を引き受けてくれるかどうか、不安になった。
斎藤心美は咳払いをして、できるだけプロフェッショナルな態度を取ろうとした。「木村さん、私たちの優題アプリは専門的な問題解説ソフトウェアで、各科目の学習資料も提供しています。時枝秋さんに広告塔になっていただきたいと本気で考えています。契約書はここにありますので、問題なければすぐにサインしていただけます。」
「斎藤さんは時枝秋の成績についてもっと知りたくないのですか?」木村裕貴が尋ねた。
唐沢勇が言った。「もちろん必要です...」
「必要ありません。」斎藤心美は唐沢勇の言葉を遮った。「私は多くの資料を調べました。時枝秋さんの成績は良いはずです。さらに藤原グループのお墨付きもあるので、彼女は私たちのアプリと完璧にマッチすると信じています。時枝秋さんには広告塔になっていただくだけでなく、オフラインでのプロモーション活動にも協力していただきたいと思っています。」
唐沢勇は「...」
木村裕貴は時枝秋を見た。
時枝秋は率直な人が好きで、若くて可愛い女の子も好きだった。中年のおっさんと比べると、彼女たちはまさにこの世界の目の保養だった。
「いいですよ。木村さん、契約書に問題がないか確認して、問題なければサインしましょう。」時枝秋は眉を上げながら言い、目尻も美しい弧を描いて上がった。
時枝秋が自分に対して表情豊かになることに気づいた斎藤心美は、目をキラキラさせながら「5年契約でお願いします!」と言った。
「斎藤さん!」唐沢勇は咳払いして注意を促した。