第392章 最強の逆転劇

盛永空良は元々Aホールでゲストを務める予定だったが、桑原逸人の事務所が急に横やりを入れ、その席を奪ってしまった。

Aホールでゲストを務めれば、時枝雪穂との交流やカメラに映る機会が、まったく違ってくることは明らかだった。

「お姉ちゃん、もういいよ」盛永空良は姉を制し、相変わらず明るく笑って「Bホールに行こう」と言った。

盛永空良の姉はため息をつき、自分はプロではないから、桑原逸人のようなチームには敵わないと思った。

Bホールは今、閑散としていた。ファンは席を埋め尽くしていたものの、ほとんどがスマホを開いてAホールの様子を見ていた。

Aホールのチケットが手に入るなら、誰がBホールに座りたいだろうか?

Bホールの演出チームも、一生懸命に仕事と撮影を進めていたが……

配信の効果は、やはり期待通りとはいかなかった。