「社長に……」
「あなたたちの社長なんて知らないわ」時枝秋は彼の言葉を遮った。「重岡恒星を連れて行けるのは警察だけよ」
彼女は木村裕貴の方を向いて言った。「木村さん、恒星のために弁護士を手配してもらえませんか?警察署に一緒に行ってもらうために」
二人のごつい男たちは一瞬呆然とした。向井社長を軽んじる人間がいるとは思わなかったのだ。
この女は一体何者なのか?
しかし周りの人々は密かに頷いていた。「時枝秋の言うことは正しい。重岡恒星が何をしたにせよ、それは警察と法律が扱うべきことだ。他の人間が何だというのか?どんな理由があろうと、勝手に人を連れ去るなんてできないだろう」
時枝雪穂は軽く鼻を鳴らした。「じゃあ私のアシスタントが受けた屈辱はどうなるの?重岡恒星のこの態度は何?やったことから逃げるつもり?」