藤原千華と時枝秋は安倍和枝が事故で入院したと聞いて、断るわけにもいかず、まずは彼女を見舞いに行って、それから検査に戻ることにした。
秦野家次男の夫人は言った。「和枝は早産したの。赤ちゃんは今救命中で、彼女自身も体が弱っていて、あまり良くないわ」
藤原千華はそれを聞いて少し黙った。「それなら彼女にはゆっくり休んでもらわないと」
出会ったからには、確かに彼女も安倍和枝を直接見舞いに行かざるを得なかった。
藤原千華と時枝秋が歩いていくと、廊下から安倍和枝の泣き声が聞こえてきた。秦野おばあさんもいて、不機嫌そうな顔でベンチに座っていた。
秦野夫人はその隣に座り、秦野おばあさんに付き添っていた。
秦野家次男の夫人は前に出て諭した。「もういいでしょう、赤ちゃんはまだ手術中なのよ。ここで泣き叫んで何になるの?静かに待ちなさい」