藤原修のその眼差しを見て、園田一帆は自分が考えすぎていたことに気づいた。
会議室に戻ると、皆の表情からは、ほぼ反対の意思が読み取れた。
今投票させたら、賛成する人はほとんどいないだろう。
結局のところ、実際に出ていくお金は彼らに関わるものだからだ。
藤原修は淡々と言った。「一言言わせてもらおう」
皆は息を潜め、彼の言葉を静かに待った。
「時枝秋のプロジェクトを私は詳しく見た。価値があると思う。投票を始めよう」
一言と言ったが、確かにたった二文で、余計な言葉は一切なかった。
藤原修の言葉が落ちると、株主や幹部たちの表情が何度か変化した。
「時枝秋に賛成の方は手を挙げてください」藤原修自身が手を挙げた。
ゆっくりと、人々が続いて手を挙げ始めた。
一人が続くと、すぐに二人になった。
そして三人、四人……最終的には、最初に最も疑問を持っていた人さえも、躊躇いながら手を挙げ、反対する人はほとんどおらず、全員一致で可決された。
園田一帆は自分が考えすぎていたことを確信した。藤原様がどうして時枝さんのために発言しないわけがあるだろうか?
藤原グループでは、藤原修はすでに鋭い目で全員の同意を得ており、皆は藤原修に従って投資すれば、儲かり、旨みがあることを知っていた。
だから最も見込みがないと思われるプロジェクトでも、藤原修の一言さえあれば、他の人が従わないはずがなかった。
時枝秋は傍らに立ち、藤原修の唯一無二の影響力と求心力を徹底的に見せつけられた。
正規の手続きで資金調達が決まり、藤原修は園田一帆に最速で時枝秋に資金を提供し、彼女のあらゆる業務をサポートするよう指示した。
三日もたたないうちに、時枝秋は自分が欲しかったいくつかの土地を時光グループの名義で取得した。
同時に、彼女は時光エンターテインメントを設立し、自分のマネジメント契約を以前の会社から引き出した。
彼女の以前の会社セガエンターテインメントは、すでに彼女から十分な利益を得ており、完全に予想外の収穫だった。
彼女の早期退社を非常に残念に思いながらも、彼女が元々藤原修が自分たちの会社に置いた人物であり、同時に彼女がもたらした価値が会社の他のどの人物よりもはるかに上回っていたことを考えると、会社は彼女に違約金さえ要求せず、顔を合わせられないどころか、丁寧な言葉で彼女を見送った。