時枝秋が帰国した後、藤原おばあさんは小切手を持って彼女を見舞いに来た。
「前回、資金調達の件について話したけど、その後どうなったのか知らないわ。あの老いぼれたちは同意したの?」藤原おばあさんは会うなり尋ね、小切手を取り出した。
「お伝えするのを忘れていました。全員が同意してくれました」
「足りる?」藤原おばあさんは自分の小切手を時枝秋の手に押し込んだ。「足りなければこれを使いなさい」
時枝秋は受け取らなかった。「おばあさま、十分ですよ」
実は藤原おばあさんは彼女の資金調達が成功したことを知っていたが、彼女が投資したものはすべて他の人が見向きもしない土地や株などだと聞いていた。
心配で、わざわざ訪ねてきたのだ。
時枝秋が買ったものは今のところすべて損失状態で、藤原修が前面に立っていなければ、会社の連中は時枝秋を食い物にしていただろう。
「これが少ないなんて言わないで、取って使いなさい」藤原おばあさんは彼女に心を開いた。
元々彼女は藤原修のことがあって、時枝秋を高く評価していた。
この娘がいなければ、孫は一生独身だったことを保証できるほどだった。
途中で不愉快なことがあったにしても、その後の時枝秋の振る舞い、彼女が藤原家にもたらした喜びは、すべてを価値あるものにしたと藤原おばあさんは感じていた。
このお小遣いは、時枝秋の練習のための援助と思えばいい。
時枝秋は断りきれず、とりあえず受け取ることにした。
「わかりました、おばあさま。儲かったらお返しします」
藤原おばあさんはにこにこして言った。「いいわよ、儲かったら分けてちょうだい」
彼女は全く気にしておらず、時枝秋が儲けることも期待していなかった。時枝秋が幸せであればそれでよかった。
藤原おばあさんは食事の後、帰っていった。
園田一帆が傍らで言った。「時枝さん、あなたに買わせた株は今でも真っ赤っかで、アプリを開くたびに目が回りそうです。少し売って損切りした方がいいでしょうか?」
「私は投資というのは持つことも手放すことも大事で、忍耐が必要だと思います」木村裕貴は時枝秋の目を信じて、たくさん買っていた。
「これは俺の結婚資金なんだ」園田一帆は声を低くして言った。
木村裕貴は言った。「時枝さんのおかげで百人の奥さんをもらえるかもしれませんよ」