第552章 芸能界からの引退を発表

時枝秋はすでにこのことを予想していた。前世では、堀口景介が最終的に漢方薬の方法で薬を作ったことを覚えていたからだ。

ただ、前世では堀口景介が完成させたのはもっと遅かった。おそらく漢方薬に関する問題をずっと克服できなかったのだろう。

「帰国したら、あなたの研究室を見に行くわ」

堀口景介は彼女がしばらく忙しかったことを知っていて、笑いながら言った。「急がなくていいよ。まずはゆっくり休んで、時間ができたら来てくれればいい」

二人は一緒に搭乗し、飛行機が離陸する前に、時枝秋はWeChatで景一の状況について尋ねた。

斎藤チームドクターからもメッセージが来て、金針の刺し方の細部をどう処理するか質問してきた。

時枝秋はすべて返信してから、やっと藤原修からのメッセージを見た。

彼女は唇の端を上げ、小声で彼に音声メッセージを送り返した。

……

染宮静里奈は今回、時枝秋の手によって惨敗し、染宮家に戻ると、すぐに陰口が聞こえてきた。

兄弟姉妹たちは野心を燃やし、それぞれが彼女の地位を奪おうとしていた。

しかし、誰一人として本当に尾張家の者と敵対しようとは思っていなかった。簡単に言えば、彼らは手を汚さずに利益を得たいだけだった。

染宮静里奈がやることが多ければ多いほど、非難も多くなった。

染宮おばあさんは彼女を呼び寄せ、言った。「堀口正章と時枝秋さえ処理できないのなら、これからどうするつもりなの？」

「おばあさま、そんな小さな争いでは尾張家を妨げることはできません。私は、やはり製薬会社の方で手を打つべきだと思います」

染宮おばあさんは彼女を見つめた。「お前の父親は病気で家業を管理できない。私が染宮家をお前に任せたのも、やむを得ないことだった。もしお前がうまくやれないなら、叔父たちがお前にその地位を降りるよう求めても、私はもう断れないよ」

染宮おばあさんは四大家族の地位を守るために、若い頃から心血を注いできたが、今は年老いて、力不足を感じていた。

すべては染宮静里奈に任せるしかなかった。

どうしてもできないなら、家業全体のために決断するしかなかった。

染宮静里奈は心が引き締まり、「わかりました」と言った。

彼女はすぐに小林凌と別れ、芸能界からの引退も発表した。