「このカップルは甘すぎて、私はもうすぐ気絶しそう」
「ドラマではどんな感じなのか楽しみ」
この回は既に編集が終わっていて、時間的に余裕がなかったため、予想通りの形で放送された。
水野羽衣と久保田天音は最高の宣伝効果を達成した。
斎藤玲はいつも通り批判され、悪役女というレッテルを額に貼られたようなものだった。
「だから橋本幸だけが彼女と遊んでいるのね、二人とも同じタイプだからでしょ!」
本来なら役柄の行動は実際の人物に当てはめるべきではないのに、斎藤玲と橋本幸に関しては、どちらも例外なく批判された。
第1回の放送が終わり、第2回の予告が直ちに公開された。
「まあ、時枝秋が出るなんて!」
「この番組はあり得ないわ、時枝秋が出るのにこのタイミングまで隠していたの?」
「この番組が失敗するのも当然ね、こんな時期になってようやく予告を出すなんて」
「待ち遠しい!」
「楽しみ」
「実はそんなに期待してないわ、この番組は完全に水野羽衣と久保田天音の専用舞台で、時枝秋がその中に入ると、きっと居心地が悪いでしょう」
「私もその意見に同意するわ、その中に混ざるのは居心地悪くない?」
「編集がどうなるか気になるわね」
第2回の予告が公開されると、『オールラウンドスポーツキング』の視聴予約数は以前の何倍にも増え、データ上でも目に見えて大幅な上昇があった。
斎藤玲と橋本幸は毎週この番組の収録のために2日間だけ時間があり、今回の収録後は他の仕事に戻り、週末にまた収録に来ることになっていた。
斎藤玲は帰りに、まず斎藤チームドクターに電話をかけた。「お父さん、本当にすごいね、本物の時枝秋を呼んできたなんて」
「そうだよ、彼女に恩があるからね」
「その恩は返しきれないでしょうね」
「どういうこと?」
「お父さん、時枝秋が私よりどれだけ有名か知ってる?」
「え?それはあまりよく知らないな。芸能界のことは、あまり注目してないし。それに、注目しても詳しくないんだ」
「こう言えばわかるかな、時枝秋が景一と同じレベルだとしたら、私は地方の小学校でフィギュアスケート教室に通い始めたばかりの生徒みたいなものよ」
この例えで斎藤チームドクターはようやく芸能界での比較を理解し、「じゃあ、今どうすればいいの?」と尋ねた。