第561章 そのままでいいよ

「このカップルは甘すぎて、私はもうすぐ気絶しそう」

「ドラマではどんな感じなのか楽しみ」

この回は既に編集が終わっていて、時間的に余裕がなかったため、予想通りの形で放送された。

水野羽衣と久保田天音は最高の宣伝効果を達成した。

斎藤玲はいつも通り批判され、悪役女というレッテルを額に貼られたようなものだった。

「だから橋本幸だけが彼女と遊んでいるのね、二人とも同じタイプだからでしょ!」

本来なら役柄の行動は実際の人物に当てはめるべきではないのに、斎藤玲と橋本幸に関しては、どちらも例外なく批判された。

第1回の放送が終わり、第2回の予告が直ちに公開された。

「まあ、時枝秋が出るなんて!」

「この番組はあり得ないわ、時枝秋が出るのにこのタイミングまで隠していたの?」

「この番組が失敗するのも当然ね、こんな時期になってようやく予告を出すなんて」

「待ち遠しい!」

「楽しみ」

「実はそんなに期待してないわ、この番組は完全に水野羽衣と久保田天音の専用舞台で、時枝秋がその中に入ると、きっと居心地が悪いでしょう」

「私もその意見に同意するわ、その中に混ざるのは居心地悪くない?」

「編集がどうなるか気になるわね」

第2回の予告が公開されると、『オールラウンドスポーツキング』の視聴予約数は以前の何倍にも増え、データ上でも目に見えて大幅な上昇があった。

斎藤玲と橋本幸は毎週この番組の収録のために2日間だけ時間があり、今回の収録後は他の仕事に戻り、週末にまた収録に来ることになっていた。

斎藤玲は帰りに、まず斎藤チームドクターに電話をかけた。「お父さん、本当にすごいね、本物の時枝秋を呼んできたなんて」

「そうだよ、彼女に恩があるからね」

「その恩は返しきれないでしょうね」

「どういうこと?」

「お父さん、時枝秋が私よりどれだけ有名か知ってる?」

「え?それはあまりよく知らないな。芸能界のことは、あまり注目してないし。それに、注目しても詳しくないんだ」

「こう言えばわかるかな、時枝秋が景一と同じレベルだとしたら、私は地方の小学校でフィギュアスケート教室に通い始めたばかりの生徒みたいなものよ」

この例えで斎藤チームドクターはようやく芸能界での比較を理解し、「じゃあ、今どうすればいいの?」と尋ねた。