第55章:信じる

市立第一病院

西尾聡雄が自ら執刀医として原幸治の手術を行うことになり、院長はそれを聞いて軽視できず、すぐにVIP手術室の準備を指示した。

西尾聡雄が白衣に着替えて手術室の外で真剣に資料を見ているとき、青木岑は遠くから彼を見て、その姿に魅了されていることに気づいた。

目の前のすべてが現実だとは信じられなかった……

いつか彼が医師として手術室の前に立つ姿を見られるなんて。照明が彼の端正な顔を照らし、そのなじみ深いシルエット、かつて深く愛していたこの男性が、そこにいる、それはあまりにも現実的だった。

彼女はゆっくりと近づいていき、足音は静かだったが、それでも西尾聡雄の注意を引いてしまった。

彼が顔を上げて青木岑を見た瞬間、その眼差しは柔らかくなった……

「私も手術の助手として入らせてください」