青木岑は西尾聡雄がこんなに直接的に聞いてくるとは思わなかったので、一瞬戸惑ってしまった。
そして頬を赤らめながら答えた。「違います」
「怖くないなら、何を待っているの?寝に行こう」そう言って西尾聡雄は二階の寝室へ向かって歩き出した。
夜、西尾聡雄が不在の時、青木岑はすでにこの家の構造をおおよそ把握していた。
200平米のメゾネット式の部屋で、一階には広々としたリビング、ダイニング、トイレ、キッチン、そして書斎があった。
二階には3つの寝室とバスルームがあるようだった。
このような間取りなら、二人で住むどころか、子供が二人できても十分な広さだった。
西尾聡雄が先に階段を上るのを見て、青木岑は自分の軽率な返事を後悔した。
今となっては、付いていかないのも約束を破るようで、かといって付いていくのも、まだ心の準備ができていなかった。
7年前は西尾聡雄を深く愛していたが、今もそうとは限らない。
正直なところ、今の自分が西尾聡雄に対してどんな感情を抱いているのかさえ、はっきりとはわからなかった。
彼と結婚したのは、純粋に幸治の安全のためだった。
もちろん、そこには少しばかりの個人的な感情も混ざっていたが……
西尾聡雄が二階の最初の寝室に入ると、青木岑もゆっくりと後に続いた。
部屋は広々として、モノトーンの内装は西尾聡雄のシンプルな好みにぴったりだった。
「なぜついてきたの?そんなに私と寝たいの?」西尾聡雄は半分冗談めかして青木岑を見た。
青木岑は困惑して、どう対応すればいいかわからなかった……
「あなたの寝室は隣よ。おやすみ」そう言って、西尾聡雄はドアをバタンと閉めた。
困惑した表情の青木岑をドアの外に置き去りにして……
青木岑が反応する間もなく……その無邪気な様子に、西尾聡雄は思わず彼女に激しいキスをしそうになった。
西尾聡雄はドアを閉めた後、ゆっくりとドアに寄りかかった。
彼女を抱きしめて眠りたい気持ちはあったが、彼女にはまだ準備ができていないことを知っていた。
彼女を追い詰めたくなかった。時間をかけて……
7年前のすべての感情を少しずつ取り戻してほしかった……
どうせ彼女は既に自分の合法的な妻なのだから、そうだろう?
そう考えると、西尾聡雄は口元を緩め、満足げに微笑んだ。