「西尾社長、会社が何か良いプロジェクトを獲得したんですか?」ある副社長が媚びを売るような表情で尋ねた。
西尾聡雄は少し考え込み、額に手を当てながら物思いに耽るように言った。「良いプロジェクト?ああ、長年私が気にかけていたプロジェクトが、ようやく決着したんだ。」
「それは素晴らしいですね、西尾社長。どんなプロジェクトなのか、私たちにも教えていただけませんか?喜びを分かち合いたいのですが。」その副社長はさらにお世辞を言い続けた。
しかし、西尾聡雄はゆっくりと立ち上がり、襟元を整えながら淡々と口を開いた。「君たちが知る必要はない。とにかく、今日は良い日だ。」
そう言って、西尾聡雄は背を向けて去っていった……
残された幹部たちは困惑の表情を浮かべた……
永田さんは密かに指を折って計算してみた。本社には社員が二千人いて、毎月の給与支払いは八百万円。そして今日、社長の一言で、今月はさらに八百万円の支出が増えた。やはり、お金持ちは気まぐれなものだ。