第160章:異様

「私はね、生まれつき大きな野望なんてないの。お金が多ければ良いとも思わないし、平凡な生活が私にとって一番の幸せなの。この何年間か、母と二人で大変だったけど、充実していたわ」

「そう、あなたの言いたいことはわかったわ」

「ご理解いただき、ありがとうございます」

「でも、はっきり言っておくわ。もし後で考えを変えるなら、私の味方になってほしいの。もし神谷香織たちの側につくなら、その時は私たちは敵同士になるわ。そうなれば、私もあなたを潰すしかないわね」

「わかりました」青木岑は頷いた。

「いいわ、賢い子ね。気に入ったわ」

今回は青木岑を味方につけることはできなかったが、神谷香織を助けないという意思表示はしてくれた。

それで小林紅もだいぶ安心したが、とはいえ、青木岑はまだ若い娘だ。将来考えを変える可能性もないとは言えない。だから彼女は警告も込めて、敵になれば容赦しないと言い渡した。