第179章:潔白

青木岑は西尾聡雄が彼女のことで患者の家族と交渉に出かけたことを知っていたが、事態がこれほど早く進展するとは思っていなかった。

西尾聡雄がまだ帰宅する前に、産婦から懇願の電話がかかってきた。

青木岑が黙り込んでいるのを聞いて、産婦は泣きながら言った。「全て私たちが悪かったんです。私たちが欲張りすぎて、この機会に病院からお金を引き出せると思ったんです。結局は利益に目が眩んでしまったんです。でも本当に間違いに気付きました。どうか私たちにチャンスをください。私の二人の子供は父親なしでは生きていけません。私は本当に彼を失うのが怖いんです。もし彼が本当に刑務所に入ることになったら、全てが台無しになってしまいます。」

刑務所という言葉を聞いて、青木岑の心が揺れた。西尾聡雄がどんな手段を使ったのか分からなかった。