運転手の細川さんは奥さんの言葉を聞くと、すぐに車線を変えてマイバッハの方向へ追いかけていった。
バックミラーで、西尾聡雄は何気なく後ろを見て、不審な様子に気付いた。
直接帰宅するつもりだったが、すぐに前方で急ハンドルを切って別の方向へ向かった。
「あれ、間違えましたよ。これは帰り道じゃありません」青木岑は慌てて注意した。
「帰らない。せっかくの機会だからドライブでもしよう」
青木岑は言葉を失った……
こんな寒い夜に、本当にドライブに適しているのだろうか?でも彼女は西尾聡雄の行動には必ず理由があると信じていた。
それ以上質問せず、西尾聡雄が路地を縫うように走り、大通りを行く様子を見ていると、青木岑はすぐに何かを悟った。
彼女はバックミラーを確認して、「私たち、尾行されているんですね」