第242章:偶然の出会い

「青木岑……どうしてここにいるの?」

「もう転勤してきたんだよ。第一病院にはもういないんだ。あなたは?どうしてここに?」

「父が先日、過度の飲酒で脳血栓を起こして、しばらく入院治療していたの。効果は良かったんだけど、後期療養をここでしたいって。ここは後期療養の効果がとても良いって聞いたから」

「うん、その通り。ここは食事と薬物療法を組み合わせていて、環境も良いし、この分野の権威もいるから、家にいるよりずっと良いはずよ」

「うん、でも脳外科の病室がもうないみたいで」関口東は少し恥ずかしそうに頭を掻いた。

前回青木岑にお金を貸せなかった件以来、自分は男らしくないと感じ、約束を守れなかったことが恥ずかしかった。

そのためLINEグループでもあまり発言しなくなり、その後青木岑と西尾聡雄が退会してからは、少し楽になった。

ただ、事情を知っている熊谷玲子は、時々彼を皮肉っていた。

ここで青木岑に会えるとは思わなかった。最近、青木岑が度々ニュースになっていたことも知っていた。

でも彼は知っていた。西尾聡雄がいる限り、青木岑は大丈夫だと。

実際そうだった。青木岑はいつも危機一髪で助かっていた。

「そう?ちょっと待って、確認してくる」そう言って、青木岑は受付に戻り看護師長に電話をかけた。

看護師長の話では、脳外科には病床があるが、患者の身分や地位によって配分されているとのこと。

コネや権力のない人には、通常「病床がない」という理由で断っているそうだ。

「看護師長さん、お願いできませんか?私の同級生のお父さんで、脳血栓の後遺症の療養なんです。お年寄りも大変で…」

「わかった、脳外科に電話してみるわ」

幸い看護師長は良い人で、すぐに青木岑に電話を返してきて、病室を確保できたと伝えてきた。

「関口さん、9号室を確保できたわ。おじさまをそのまま連れて行ってください」

「本当?ありがとう、青木」

「いいえ、早く行って。おじさまの容態が心配だから。私は整形外科にいるから、何かあったら連絡してね」

「うん」

関口東は青木岑の助けで無事に父を入院させることができ、心から感謝していた。同時に青木岑に対して一層申し訳なく感じていた。

昼時、青木岑がまだ食堂に行けていないとき。

報告書を見ている最中、関口東が食事を持ってやってきた。

「昼食買ってきたよ」