第260章:いわゆる「情けは人の為ならず」(2)

「お姉ちゃん、怒らないで。本当に何が起きたのか分からなくて、スポンサーがGKだとも知らなかったんだ。今日車を受け取りに行って初めて気づいたんだ。故意じゃないから、お母さんには言わないでくれる?」原幸治は、GKが姉と母の心の中のしこりになっていることを知っていた。

彼が心配そうな様子であることは明らかだった……

「あなた...彼に会った?」青木岑は探るように尋ねた。

「誰?西尾兄?」

「うん。」

「いいえ、今日行った時は西尾兄の助手が手続きを手伝ってくれただけ。実を言うとね、お姉ちゃん、僕のデザイン案はそんなに優れてなかったんだ。今回賞を取れたのは運が良かっただけだって、みんな言ってる。お姉ちゃんみたいな生まれつきの天才じゃないし、才能もない。どんなに頑張っても、成績は平凡なまま。だから僕がこの賞を取れたのは、きっとお姉ちゃんと関係があると思う。西尾兄は、まだお姉ちゃんのことが好きで、この機会に近づこうとしているんじゃないかな。」