第335章:金と権力の対峙(7)

原告の長田輝明の名前を見た時、彼女は一瞬にして全てを理解した。

やはり長田家が動いた。傷害罪で青木岑を告訴し、一週間後に県高等裁判所で裁判が行われる。

ほら見て、裁判所までこんなに格式高い。県高等裁判所だなんて、いかにこの件を重視しているかがわかる。

「傷害罪?ふん、私が玲子に薬を盛って強姦未遂した彼を訴えていないだけでもいいのに」青木岑は口角を歪め、少しも怖がる様子はなく、ただ長田家が面白いと感じていた。

あんなに金と権力があるのに、なぜ直接人を雇って彼女を始末しないのだろう?

もちろん、長田家もそれを考えたが、彼女が知らないのは、長田家には手の打ちようがなかったということだ。

なぜなら青木岑の背後には、西尾聡雄の力だけでなく、桑原勝と青木重徳の部下たちも守っていたからだ。