第396章:一夜の激変(6)

「私は正式に辞表を提出します。GKの最高経営責任者という地位は、私には向いていないと思います」

「何をするつもりだ?」

「何もしません。私は成人です。自分の考えがあります。もし父上が私の意思で行動させてくれないのなら、辞めた方がいいと思います」

「お前は何を捨てようとしているのか分かっているのか?」西尾裕二は怒りに満ちた表情を浮かべた。

「分かっています。GKはもともと父上と祖父が築き上げた基盤です。私はただ運が良くて、この家に生まれただけです。これは私自身のものではないので、独占しようとは思ったことはありません。私は青木岑と一緒にここを離れ、見知らぬ場所で新しい人生を始めることができます。まだ若いですし、挑戦していないことがたくさんあります。もしこの機会を与えていただけるなら、感謝いたします」

西尾聡雄がこの言葉を口にした時、その目には真摯な思いが宿っていた……

これは父を刺激するための策略ではなく、本当にそう考えていたのだ。

GKの最高経営責任者は、もともと彼の望んでいた地位ではなかった。ただ、それは家業であり、責任と使命だった。

しかし、もし父が直接、経営を任せないと言うのなら、それでよい。彼は完全に自由になれる。

現在のハーバード大学医学部博士の肩書きがあれば、病院を開業して青木岑と一生、衣食に困ることはないだろう。

だから金銭も、名声も地位も、彼にとって魅力的なものではなかった……

「お前は私の一人息子だ。今こんなことを言って、私と母親の苦労を無駄にするつもりか?」

「父上と母上が私に貴重な人生を与えてくださったことに、心から感謝しています。ただ、この数年間、あなたたちは私に干渉しすぎて、大切なものを失いかけました。父上、あなたは私ではないので、私の気持ちは分からないでしょう。私は、ある出来事について、父上と母上をどれほど恨んでいるかは言いたくありません。でも事実として、あなたたちは私の成長の過程で、誰よりも深い傷を負わせました。今日に至って、私はあなたの選択と意見を尊重します。ただ一つ、基金会が承認されなければ、即座に辞職します……そして今後、私の決断を否定されるなら、その都度辞職します」

「お前は……?」西尾裕二は完全に激怒していた。見てみろ、彼と妻が二十数年かけて育てた息子がこんな人間になってしまった。