第50章:私もあなたの弟(10)

「どこの目で私が彼に優しくしているって見たの?まったく...」熊谷玲子は、相変わらず認めようとしない態度を取っていた。

「玲子...」

「なに?」

「実はね...冗談は冗談として、親友として一言アドバイスしたいことがあるの」青木岑は真剣に言った。

「言ってみて」玲子はLINEにすぐ返信した。

青木岑は続けて言った。「人生で、自分が好きで、同時に自分のことも好きな人に出会えるのは、誰もがそう簡単には経験できないことよ。もしそんな人に出会えたのに、何かの理由でためらって最後に逃してしまったら、それってすごくもったいないでしょう?もしその感情を素直に受け入れたら、たとえ将来一緒にいられなくなったとしても、後悔はしないはず。経験したんだから。人は年を取ってから怖いのは、誰かと付き合ったことを後悔することじゃなくて、誰かと付き合ってみなかったことを後悔することなのよ」