第117章:皆が失態を待っている(7)

彼は本当に、西尾聡雄が一体どんな神様なのか、局面を逆転できるのか見てみたかった……

「もうすぐさ……あの三流タレントたちが通り過ぎたら、すぐに行って相手を祝福してやれよ。ライバルがケチだと思われないようにな」関口遥が提案した。

「そうだな」桑原勝は得意げに続けた。

青木岑を追いかける件は進展がないものの、ビジネスの世界で西尾聡雄に勝てたことは、心が晴れる思いだった。

結局のところ、彼は青木岑の現在の夫なのだから……

あれ?なぜ頭の中に「現在の」という言葉が浮かんだのだろう?まるで青木岑が離婚できて、次の夫がいるかのような言い方じゃないか。

桑原勝はそこまで考えて、思わず笑みがこぼれた……

これは最近で一番気分の良い日だった……

朝九時三十分、C市のヒルトンホテルの入り口からホールまで、レッドカーペットが敷き詰められていた。

何百人ものメディア記者が取材に詰めかけ、財界の名士や政界の重鎮も大勢訪れていた。

しかし彼らは直接会場に入り、昼のランチパーティーを待っていた……

レッドカーペットを歩くのはGKの幹部と契約タレントたちだった。

有名な男女司会者の開会の挨拶の後……

レッドカーペットが正式に始まった……

三流タレントたちが入場し始め、皆は目を凝らして見守っていた。

「西尾社長は市内にいないそうで、今日のオープニングには来られないらしいわ」

「そうね、T市の問題が解決していないから、西尾社長は戻って来られないでしょう」

「神田相子も来られないそうよ。今朝ファンがタイで彼女を見かけたって。きっと騒動を避けて海外に行ったんでしょうね」

「あの人もこの人も来られないなんて、GKのこの豪華なレッドカーペットが、三流タレントの集まりになってしまうんじゃない?」

皆がそれぞれ議論を交わしていた……

七、八人の三流タレントが登場した後、突然……

一人の麗しい影がレッドカーペットの端に現れた……

彼女は真っ赤なイブニングドレスを着て、背中がVカットになっており、韓国風のナチュラルメイクで、人々を魅了した。

群衆の中から誰かが叫んだ。「見て、あれは松山雪乃じゃない?彼女が来るなんて」

「えっ?彼女はハリウッドに行くはずじゃなかったの?なぜGKと契約したの?」