第115章:皆が失態を待っている(5)

「また後でね、青木姉」

そう言うと、青木岑が口を開く前に、坂口晴人は手際よく電話を切った……

青木岑が会議室に戻った時、まだ夢心地のような感じだった……

まるで先ほどの出来事が幻のようで、坂口晴人については、実は期待していなかった。結局、そこまで親しい間柄ではなかったから。

でも青木重徳については、正直に言えば、結果は予想できていた。電話さえすれば、きっと助けてくれるはずだと。

青木岑は今日とてもカジュアルな格好をしていた。朝は出勤するつもりだったので、黒のスキニーパンツとピンクベージュのシャツを着ていただけだった。

上着は白い小さなジャケット……

彼女が戻ってくると、永田さんはすぐに立ち上がった。「奥様、残り時間は1時間を切っています」

「ええ」青木岑は頷いた。