第102章:人材争奪戦(2)

「本来なら南山城で週末を一緒に過ごすと約束していたんだ。最近疲れているだろうから、リラックスした週末を過ごしてもらおうと思っていたけど、今は……」ここまで言って、西尾聡雄は言葉を切った。

そんな理由だったと知って、青木岑はほっと胸をなでおろした……

「バカね、会社の用事が大事でしょう。そんな大きな事件が起きたんだから、きちんと対処しないと。私と一緒に過ごす機会はまだまだたくさんあるわ。全部片付いてからでも遅くないわ」と青木岑は慰めた。

「うん、この忙しい時期が過ぎたら、海外旅行に行こう。まだちゃんとした新婚旅行に連れて行けていないからね」

西尾聡雄は申し訳なさそうに言った……

「誰が言ったの?この前、雲頂山に連れて行ってくれたじゃない」青木岑は軽く笑った。

「雲頂山は数に入らないよ。この忙しい時期が終わったら、モルディブに行こう」

「うん、待ってるわ」

電話を切ると、青木岑の気分は一気に良くなった……

西尾聡雄は決してネガティブな感情を周りの人に、特に最愛の青木岑に見せない人だった。

青木岑は電話を切って、おとなしく階下に降りて食事をした……

特別に雇われたシェフは女主人の好みをよく理解していたようで、海鮮料理を何品も作っていた。

ボストンロブスター、上海蟹の蒸し物、帆立の春雨蒸しニンニクソース、そして塩水エビ。

青木岑は食欲がなくても、西尾様との約束だったので、少しは食べた。

一方、西尾聡雄は実際にはすでに忙殺されていた……

飛行機を降りてすぐ、青木岑に電話をかけながら、永田さんから事故現場の最新情報を聞いていた。

青木岑との電話を切ると、空港の出口に向かい、そこで四方八方からやってきたメディアに囲まれた。

「西尾さん、今回はどのように対処されるおつもりですか?」

「西尾さん、今回の死亡事故に対して、御社はどのような補償をされるのですか?」

「西尾さん、GKの今年就任された執行役員として、このような事態にどのような感想をお持ちですか?」

「西尾さん、死者が3人から4人に増えたと聞きましたが、政府がGKの手抜き工事の疑いを調査し始めたそうですが、これについてどうお考えですか?」

「西尾さん、今日午後の事件発覚後、GKの株価は5%下落しましたが、明日も続落すると予想されますか?ご見解をお聞かせください」