「はぁ……冗談はやめてよ……そんなに急ぐの?」
「もちろん急ぐよ、一刻も待てないんだ」
電話越しではあったが、青木岑は頬を少し赤らめた……
西尾聡雄は特に欲望が強い方ではなかったが、彼女のことになると止められなかった……
「お前、明日帰るよ」
「うん、じゃあ早めに帰って、家で晩ご飯作って待ってるね」
「ああ」
電話を切ると、青木岑の心は甘く溶けていた……
西尾聡雄との間の息の合い方は、いつもこんなに完璧で……
お互いが最も大切な存在であり、最大の心配の種で……
向こうでどんな状況になっているのかはわからないけれど……青木岑は西尾聡雄が全てうまく処理してくれると信じていた。
彼女の西尾様の賢さなら、どんな難題も難題ではない。
月下クラブ
青木重徳の友人たちがここで豪華な個室を予約していた……