「ずっと調査を依頼していた東陶町のことなんだけど……」
「どうだ?何か分かったのか?」西尾聡雄は焦りを見せた。
この件だけは特に気にかかっていた。それは青木岑の願いだったから……
青木岑の今一番の願いは、おそらく実の両親を見つけることだった……
「その件は複雑でね、どう説明したらいいか」リックの口調は重々しかった。
「構わない、話してくれ」
「できることなら……もう調査は止めた方がいいと思う」
「なぜだ?」西尾聡雄は疑わしげに尋ねた。リックの能力は知っているだけに、こんな自信のない発言をするはずがない。
「この件の調査に派遣した者が……一人も戻って来ないんだ」
「死んだのか?」
「死んだかどうかは分からない。とにかく連絡が取れなくなった。我々の業界では分かるだろう、連絡が途絶えるということは、まず最悪の事態を意味する」