ついに青木岑は笑いを抑えきれず、「ハハハ……怖がることもあるんだね。いつもそのツンデレな態度で、怖がることなんてないと思ってたよ」と言った。
「本当なの?」全裸で走り回ることについて、西尾聡雄は想像もできなかった。
「もちろん嘘よ。あなたは私の夫なんだから……他人に体を見せるわけにはいかないでしょう。でも、真剣に言わせてもらうわ……これからはお酒を控えめにして……酔って制御を失うのは私だけじゃないから」
「わかった、妻の言うことは必ず守るよ」西尾聡雄は微笑んで、二日酔いの薬を飲んだ。
その後、二人は一緒に朝食を食べに階下へ降りた……
「旦那様、奥様……先ほど会社から衣装と、スタイリストが届きました。メイクルームでお待ちです」
「わかった」青木岑は頷いた。
食事を終えると、着替えとメイクが始まった。今日の午前9時から……会社のレッドカーペットが始まるからだ。
正午11時からショーが始まり、午後3時まで続き、その後は花火大会がある。
要するに、GK30周年の重要性を示すため、一日かけて行われる。
8時55分、西尾聡雄と青木岑は会場に到着……
会議が行われるホテルは既に群衆とメディアの記者たちで人の海となっていた……
西尾聡雄は黒いスーツ姿で、青木岑は白いマーメイドドレス、オフショルダーで、手首には白いリストコサージュをつけ、非常に優雅だった。
二人の登場は会場全体の歓声を引き起こした……
多くのメディアが競って、この出来事を報道した……
「テレビをご覧の皆様、私は今リッツカールトンホテルの前のレッドカーペット会場におります。セレモニーがまもなく始まります。GKグループの社長である西尾聡雄氏と奥様の青木さんが只今到着されました。雰囲気は素晴らしく、それでは会場の様子をご覧ください」
西尾聡雄は青木岑の手を取り、ゆっくりとレッドカーペットを歩いた……
そして二人は中央に立ち、全てのメディアの撮影や録画に応じた。
次に、受付の女性からサインペンを受け取り、サイン壁に颯爽とサインをした。
青木岑のサインは堂々としていて、見せびらかすような草書体も、自慢げな隷書や楷書も使わなかった。
ただシンプルに「青木岑」という二文字だけだが、文字は整然としていて、筆致が美しかった……