「品性というのは人によって違うものよ。誰もが面子を立ててあげても、それを受け入れるとは限らないわ……もういいわ、言うべきことは言ったわ。これからは関わりたくないわ」
そう言って、青木岑は踵を返して立ち去った……こんな人とは、一秒たりとも無駄にしたくなかった。
関口東が以前彼女を助けなかったことに、彼女は怒っていなかった。それに関口東の父が入院した時も。
彼女は南区で病室の手配までしてあげた。同級生としては、十分なことをしたはずだった。
今回、関口東の要求に応じて余計なことに首を突っ込んでいたら、それこそ愚かだったはず……
関口東は青木岑を純粋でお人好しだと思い込んでいたのかもしれない……頼めば何でも聞いてくれると思っていたのだろう……
結婚式から帰る途中、青木岑は熊谷玲子と電話で話をした。