「品性というのは人によって違うものよ。誰もが面子を立ててあげても、それを受け入れるとは限らないわ……もういいわ、言うべきことは言ったわ。これからは関わりたくないわ」
そう言って、青木岑は踵を返して立ち去った……こんな人とは、一秒たりとも無駄にしたくなかった。
関口東が以前彼女を助けなかったことに、彼女は怒っていなかった。それに関口東の父が入院した時も。
彼女は南区で病室の手配までしてあげた。同級生としては、十分なことをしたはずだった。
今回、関口東の要求に応じて余計なことに首を突っ込んでいたら、それこそ愚かだったはず……
関口東は青木岑を純粋でお人好しだと思い込んでいたのかもしれない……頼めば何でも聞いてくれると思っていたのだろう……
結婚式から帰る途中、青木岑は熊谷玲子と電話で話をした。
この件について話し、愚痴をこぼした……
「マジかよ……関口東のあの厚かましい男、たくさんの女を渡り歩いたって聞いたわ。あなたが彼と付き合わなかったのは正解だったわ……それなのに、プロジェクトを手に入れるために助けを求めるなんて、あんな大きなプロジェクトが簡単に譲れるわけないでしょう?本当に厚かましいわね」
「私は観音様じゃないから、誰の願いも叶えられるわけじゃないわ……お金を借りたいって言うなら、もしかしたら貸してあげたかもしれない。でも彼は欲張りすぎよ。松山武を説得するか、GKプロジェクトを彼に任せるか、二つの難題を出してきたわ」
「本当に大それた考えね……私なら、そんな大きな夢は見ないわ」熊谷玲子は嘲笑った。
青木岑は関口東のことについて、突然感じるところがあり、SNSに投稿した。
彼女はこう書いた。私があなたにキャンディーを一つあげて、他の人に二つあげたのを見て、あなたは不満を感じた。でも、あなたは知らない。その人も以前私に二つくれたことを。そしてあなたは私に何もくれなかった。人は誰かの親切を当たり前だと思ってはいけない。誰も当然のように優しくしてくれるわけじゃない。感謝の気持ちを持ち、不平不満を減らせば、人生はもっと素晴らしいものになるかもしれない。
同時に、この文章をSNSにも投稿した……
熱心なファンたちが次々といいねを押した……
彼らの多くは真意を理解していない人たちで、青木岑が何気なく投稿した心の癒しの言葉だと思っていた。