青木岑は頷いて、細川市長と細川詩に微笑みかけた……
「細川伯父、こんにちは」
「やあ、君ね、初めて奥さんを連れ出すなら、もっと早く私たち年長者に会わせるべきだったよ……この前、海外で君のお父さんに会って、君のことも話題になったんだ」
プライベートなパーティーでの細川市長は、慈愛に満ちた表情で、テレビで見るような厳格な様子は全くなかった。
おそらく場の雰囲気が違うせいだろう……
細川詩は今日、純白のロングイブニングドレスを身にまとい、優雅で上品だった。
彼女は青木岑に微笑みかけ、「来てくれてありがとう」と言った。
「どういたしまして」青木岑も微笑み返し、誰もあの日の約束破りについては触れなかった。
細川詩も怒っている様子はなかった……
しかし、そうであればあるほど、青木岑は不安になった。