第298章:卵を産まない鶏(8)

「わかってるわ、約束したことは必ず守るから」小西順子は自分の約束を忘れていないようだった。

「でも坂口晴人がそう簡単に許してくれるとは思えないわ、それが重要なポイントよ」

青木岑は少し心配そうに言った……

小西順子は少し驚き、その後沈黙した……

「彼は最近どう?」小西順子は珍しく尋ねた。

「まあまあかな、病状は安定してる……でも全体的にまだ少し憂鬱そうだね……何にも興味を示さないから、会社には彼のために軽めの仕事を手配してもらったよ、時々海外でロケもあるし、休暇も兼ねてるんだけど……でもそれが本質じゃない、彼の心の結び目はあなたなんだ、あなたに捨てられたあの頃のことさ」

「彼に申し訳ないことをしたって分かってる、何とか埋め合わせをするわ」

「いいよ、桑原勝の手術が終わってからにしよう……この心配事が片付いたら、あなたも坂口晴人との問題をちゃんと解決できるだろうから」