第300章:卵を産まない鶏(10)

「構いませんよ、あなたが私たちのためを思ってくれているのはわかっています。でも、もう状況は理解しましたから、愚かにも孫娘を探しに来たりはしません。岑さん、もう事情は明らかになったので、これ以上お邪魔はしません」

そう言って二人の老人は立ち上がった……

寺田伯母は手に持った汚れた袋を青木岑に渡した。「これは今回持ってきた山の幸です……野生のキノコとワラビで、私たちが山で採って、洗って乾燥させて冬に食べるために保存していたものです。もう彼らに会えないなら、これだけでも受け取ってください。粗末なものですが」

「いえいえ、伯父さん、伯母さん……私は粗末だなんて思っていません。ただ、あなたたちも大変なのに、そんなお年でまだ山に採りに行くなんて。ご自分で取っておいてください」

「いいえ、私たちの村には他に何もないけど、これだけはたくさんあるの。都会の人が何て言うか、オーガニックフードとか……あなたが持っていてください、私たちにはまだたくさんありますから」

青木岑の反対を押し切って、寺田伯父は袋を青木岑の手に押し付けた……

「伯父さん、伯母さん……車で長距離バスターミナルまでお送りしましょう。公共バスだと時間がかかりすぎますから」

その後、青木岑は車で二人の老人を長距離バスターミナルまで送り、彼らのためにバスチケットと食べ物、水を買った。

最後に、青木岑は六万円を取り出して寺田伯母に渡した。

彼女は普段あまり現金を持ち歩かず、財布には六万円ほどしかなく、ほとんどはカード払いだった。

「伯母さん、このお金を持っていってください。帰ったら伯父さんと何か美味しいものを食べてください。お二人はもう年なんですから、ご自分の健康を大切にしてください」

「だめよ、受け取れません。あなたも稼ぐのは大変でしょう」

「大丈夫ですよ、受け取ってください、伯父さん、伯母さん……正直に言うと……今の私の仕事は順調ですし、結婚もしました……夫の条件も良くて、お金に困ることはありません……徹は今あまり良い状況ではないですが、あまり心配しないでください。彼が少しずつ立ち直ることを願っています。このお金を受け取ってください、私の気持ちです」

見たところ、寺田家の老夫婦は本当に受け取るつもりがなかった……

青木岑とずっと押し問答をしていた……かなり激しく。