第300章:卵を産まない鶏(10)

「構いませんよ、あなたが私たちのためを思ってくれているのはわかっています。でも、もう状況は理解しましたから、愚かにも孫娘を探しに来たりはしません。岑さん、もう事情は明らかになったので、これ以上お邪魔はしません」

そう言って二人の老人は立ち上がった……

寺田伯母は手に持った汚れた袋を青木岑に渡した。「これは今回持ってきた山の幸です……野生のキノコとワラビで、私たちが山で採って、洗って乾燥させて冬に食べるために保存していたものです。もう彼らに会えないなら、これだけでも受け取ってください。粗末なものですが」

「いえいえ、伯父さん、伯母さん……私は粗末だなんて思っていません。ただ、あなたたちも大変なのに、そんなお年でまだ山に採りに行くなんて。ご自分で取っておいてください」