第350章:男らしく生きる(10)

「かなりの量のBINGを押収した。死刑に十分な量だ、安心してくれ」と西尾聡雄はゆっくりと言った。

青木岑はうなずいて黙った。

「姉さん、ちょっと眠いから先に二階に上がるよ」

「幸治……」青木岑は緊張して立ち上がった。

「姉さん、大丈夫だよ。安心して。僕は馬鹿なことはしないから。まだ姉さんとお母さんを守らなきゃいけないし、ただ一人で静かに考えたいだけだ」

「わかったわ……でも元気を出して……男らしく生きていくのよ」

青木岑は知っていた。19歳の幸治にとって、最愛の人を失うことがどれほど辛いことか。

彼が耐えられないのではないかと本当に心配だった……

幸治はうなずき、永田美世子は涙をぬぐって言った。「悦子ちゃんはとても良い子に見えたのに、どうしてあんな人たちと付き合うようになったのかしら?それに私たちに隠して、助けさせてくれなかった。本当に残念だわ。まだ21歳だったのに。ずっと私たちの家の嫁になってくれると思っていたのに」

「お母さん……死んだ人は戻ってこないわ。あなたも辛い思いをしないで、幸治をしっかり見ていてね」

「ええ、あなたたちも早く帰りなさい。目の下のクマがひどいわよ。何日も寝てないの?」

永田美世子は心配そうに青木岑を見つめた……

西尾聡雄が青木岑を車に乗せる時、突然尋ねた。「妻よ、今日車をぶつけたのか?」

「うん」

「大丈夫だったか?」

「何ともないわ。ただ車が傷ついただけ……」

「大丈夫、ディーラーで修理できる」

「今日事故の後、ちょうど桑原勝に会ったの。彼が来て助けてくれたわ」と青木岑は自ら言った。

「ああ」西尾聡雄はうなずいた。

心の中では、青木岑の正直さに安心していた……

「妻よ……」

「うん?」

「君が辛いのはわかっている……でも前向きに考えないと……」

「わかってるわ。私は辛いけど自分で調整できる。ただ幸治が心配で……」

「俺は幸治がこの出来事を通じて、一気に成熟するんじゃないかと思うよ。そんなに心配しなくていい」

二人が家に帰ったときには、すでに夜の10時だった。

青木岑のお腹はぐうぐうと鳴っていた。

彼女は食欲がないと言い続けたが、西尾聡雄はそれでも彼女のためにラーメンを一杯作った。

そして彼女をなだめて少しだけ食べさせた……