第357章：青木家の乱（7）

「息子……落ち着いて、何でも話し合おう」神谷香織は心を痛めた。

「なぜ僕を追い詰めるんだ？なぜみんな僕を追い詰めるんだ？そんなに使ってないよ……6000万だけだ。僕は青木家の坊ちゃんだぞ、金を使って何が悪い？前から父さんはいつも無駄遣いするなって言って、お金をくれなかった。だから友達と遊ぶたびに、ケチだってバカにされてた……もう嫌だ……訴えるなら訴えればいい、俺は刑務所に入るさ、どうせこんな生き方に意味なんてない……全然男らしくない、こんな生き方なら死んだ方がマシだ……それに、青木重徳、お前が俺を嫌ってるのは知ってる。お前も青木岑も俺を嫌ってる、お前らは俺の失敗を見たいんだろ……いいよ、警察に通報して俺を逮捕すればいい、もうどうでもいい……ハハハ、マジで、もうお前なんか怖くないよ」

青木隼人は興奮のあまり開き直り、充血した目で叫んだ。

「OK、事がここまで来たなら、検察庁に電話するしかないな。お前は弟だが、公私混同はできない」そう言って、青木重徳は携帯を取り出し、電話をかけようとした。

神谷香織はすぐに彼を止めた。「青木社長……まだ電話しないで」

「神谷総監、困らせないでくれ……会社の社長として……誰かをかばうわけにはいかないんだ。グループに説明責任がある」

「お願いです、電話しないで。隼人の代わりに私がこのお金を埋め合わせます……」神谷香織は涙を浮かべて言った。

「これは4億だぞ、4000万じゃない。神谷総監、本気か？」青木重徳の口元には笑みが浮かんでいた。

「私が……なんとかします。3日間ください」神谷香織は苦しそうに言った。

青木岑は神谷香織がこんな姿を見せるのは初めてだった……

どんなに悪い女でも、子供に対しては細やかな愛情を持つものだ。

彼女がこの時点で4億を出すということは、青木隼人のために穴を埋めるということだ。

それは青木源人の信頼も失うことになる。結局、内緒でお金を貯めることは夫婦間の大きなタブーだ。

そして4億は本当に少なくない。彼女がそれを出したら、おそらく貯金はもう何も残らないだろう。

青木重徳のこの手は本当に厳しい、将棋で言う「車を捨てて王を守る」……最も残酷な一手だ。

神谷香織に息子を守るために大出血させ……

さらに青木源人の信頼も失わせる、まさに一石二鳥だ。