第62章 デザインコンテスト

水野日幸:「どこ?」

出雲絹代は心配そうに彼女を座らせ、後頭部の傷を見つめた。「どこかにぶつけたのかしら?あなたったら本当に不注意ね。血が出てるのに、痛みにも気づかないなんて!」

水野日幸はまだ見えていなかったが、出雲絹代に触られて、後頭部のある部分が痛むのを感じた。「たぶんね!」

出雲絹代は救急箱を持ってきて、アルコール消毒をし、薬を塗ろうとした。

「ママ、これを塗って!」水野日幸は薬瓶を彼女に渡した。

「これどこの無表示製品なの?」出雲絹代は瓶を手に取ったが、何も書かれておらず、何に使うものかわからなかった。

「友達からもらった霊薬よ。傷を治して傷跡を消すの。」水野日幸はにこにこしながら言った。

出雲絹代は薬瓶をしばらく見つめていた。瓶は上質な翡翠でできており、爽やかな薬草の香りがしたので、安心して塗ってあげた。

水野日幸は宝物のように、小さな薬瓶をかすみ草と一緒に置いた。

隣のガラス瓶には、ひまわりが一輪挿してあった。

ひまわりは数日で枯れてしまうと思い、枯れる前にドライフラワーにしておいた。

これらは全てボスからもらったもので、大切に保管しておきたかった。

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水野日幸の計画は全て順調に進んでいた。

「日幸、ちょっと来て。袖口をどうすればいいか見てほしいの。」アトリエで出雲絹代が呼んだ。

「はーい!」水野日幸はスリッパを引きずりながら走っていき、にっこりと笑った。「ママ、やっと見せてくれるんだね。」

出雲絹代は笑いながら言った。「あなたったら、勉強にダンスに、お兄さんの会社まで。母親として心配でしょうがないわ。私にできるのはこれくらいしかないの。」

水野日幸は入り口に立ち、目を輝かせた。

マネキンには真っ赤なイブニングドレスが着せられており、なびくスカート、舞い上がるリボン、優雅で奔放な様子は、まるで風に乗って飛び立ちそうな仙人のようだった。

最もシンプルな素材で最高の効果を生み出し、スパンコールもラインストーンもないのに、一目で人の目を引きつけた。

「ここよ、この部分。」出雲絹代は袖口に触れながら言った。「少し詰めた方がいいかしら。」

「ママ。」水野日幸は彼女に駆け寄って抱きしめた。「ママ、すごいよ。これが私の求めていた効果で、想像以上に完璧!」