水野日幸は「お前に関係ないだろ!」
川村染は彼女の一言に血が喉に詰まり、低い声で「水野日幸!」と叫んだ。
工藤沙織は二十年以上抑えてきた不満と怒りが、ついにこの日報われ、晴れ晴れとした気持ちでレッドカーペットを降り、水野日幸の席へと向かった。
この娘、すごいわ!
彼女とじっくり話さなきゃ。江川歌見なんてどうでもいい!
今は誰もいらない、彼女だけが欲しい!!!
ところが、まだ目的地に着かないうちに、川村染が体を少し傾けて水野日幸と話しているのを見て、表情が一変し、警戒しながら近づいた。「妹、川村先生と知り合いなの?」
川村染のこのおばさん、何か知ってるのかしら、私の大切な人を奪おうとしてるの?
私が目をつけた人には、川村染なんか手を出させない!
水野日幸は冷たい表情で、落ち着いた口調で答えた。「知りません」