第191章 長谷川邸

源那津は医薬品への投資が往々にして天文学的な金額になることを知っていたので、現段階では協力者を探すしかないと考えていた。「明日、一緒に行くよ」

「何、私が騙されるのを心配してるの?」水野日幸は笑いながら尋ねた。

「お前の方が人を騙しそうだけどな」源那津は彼女のデスクに無造作にもたれかかり、興味深そうに尋ねた。「なぜ藤田清輝に頼まないんだ?」

彼女は今、藤田清輝とかなり親しい関係で、毎日「お兄さん、お兄さん」と親しげに呼んでいて、実の兄である自分は聞いていて妬ましくなるほどだった。

「感情と利益は別物よ」水野日幸はため息をつき、続けた。「そうでないと、純粋な関係が保てないから」

源那津はその言葉を聞いて胸が痛み、その端正な顔に明らかな失望の色が浮かび、沈んだ声で尋ねた。「じゃあ、俺は?」

「あなたは彼とは違うわ。あなたは実の兄だけど、彼はそうじゃないもの」水野日幸は目を細めて笑った。「私、相手に得をしようとして付き合ってるんじゃないかって思われたくないの」

多くのものは、一度利益が絡むと純粋さを失ってしまう。実の兄弟でさえ金のために敵対することがあるのだから、彼女はそんな些細なことで心を悩ませたくなかった。

浅井家と組むのは、どれだけ清々しいことか。感情的な絡みもなく、純粋に利益だけを追求できる。

「悪い子だな」源那津は低く笑い声を漏らし、ようやく満足げな表情を見せた。

「実の兄」という言葉が、彼の心を温かく満たしたのだった。

浅井家は日本五大財閥の一つで、その邸宅は帝京の一等地である三郷に位置していた。

三郷は帝京で最も風水の良い場所を占め、身分と地位、家柄と富の象徴でもあった。名の通った名門豪族は、皆この地に邸宅を構えていた。

そのため、日本の新興財閥たちは必死になって、どれだけの金がかかろうとも、この地に住むことを目指し、家族の価値と地位を高めようと、生涯をかけてその目標に向かって努力していた。

水野日幸の車が三郷に入ると、明らかな違いを感じた。重厚で洗練された文化の薫りが漂い、道路も、両側の木々も、古風な建築物も、何百年、何千年もの静謐さに浸されているような雰囲気を醸し出していた。