第236章 2着のドレス

日本映画祭式典会場は大変な賑わいで、メディアや記者、スター達がこの瞬間のために一堂に会していた。

川村染は優雅で気品のある姿で車から降りた。

「見て見て、川村先生が今日着ているのは『羽幻の霓裳』よ」

「すごい、これは本当に美しく仙人のよう。川村先生は本物の仙女ね。モデルが着るより百倍も素敵だわ」

「服も着る人によって違うものね。川村先生は芸能界の不老の女神と呼ばれるだけあって、今回もまた会場を圧倒することは間違いないわ」

メディアや記者たちは思わず感嘆の声を上げ、カメラを彼女に向けて競い合うように構え、フラッシュが絶え間なく光った。

川村染は胸を張り、一挙手一投足が優雅で、誇りにしている白鳥のような首を見せ、何度も練習した最も完璧な笑顔を浮かべた。

彼女は満足げで、内心得意げだった。

ほら見て、いつどこにいても、彼女こそが注目の的なのだ。

レッドカーペット上の他のスターたちは、この瞬間、彼女の引き立て役でしかなかった。

川村染のこのスタイリングは、確かに人々を魅了するもので、『羽幻の霓裳』の効果もあって、彼女の美しさはより一層際立っていた。

水野日幸は川村染がレッドカーペットを歩き始めるのを見てから、ゆっくりと車を降り、颯爽と身に着けていた大きなダウンジャケットを脱ぎ、中の赤いドレスを見せた。

記者たちのカメラは、先ほどまで川村染に向けられていた。

次の瞬間。

全員がレッドカーペットの端に立つ少女を見て、驚きの目を見開き、その目には感動の色が隠せなかった。

少女は真紅のドレス姿で、超然として冷たい気品があり、その美しさは国をも傾けるほどで、まるで最も輝く星のように、世の中のすべての華やかさを集めて、すべての視線を奪い、カメラも意思を持ったかのように彼女の方向を向いた。

なんてこと！

この少女はあまりにも美しく、まるで天女が舞い降りたかのように、突然彼らの視界に現れ、高貴で冷艶で、この世のものとは思えず、一挙手一投足が魂を奪うようだった。

誰も彼女が誰なのか知らず、なぜここにいるのかも分からなかった。まるで謎のように、謎であればあるほど、人々を深く魅了してやまないのだった。