柴田玉平は目に熱い光を宿して言った。「お母さんは弟子入りしたいと思っていないかい?」
水野日幸は「爺様のおっしゃる意味は、母を弟子にしたいということですか?」
彼女の知る限り、柴田家の緙絲術は家伝であり、家族にしか伝えず、外部には伝えないものだった。
柴田玉平は心の中でそう考えていた。「坊や、正直に言うと、うちの子供たちも才能はあるけれど、君のお母さんと比べたら及ばないんだよ!」
芸術と緙絲術の美的センスと織物技術において、並外れた才能と天分を持つ唯一の者が、皮肉にも家伝の技に興味を示さず、ダンスに夢中になっていた。
人というものは、ある分野での才能は天から授かるもので、後天的な努力だけでは追いつけないものなのだ。
彼は柴田家この世代の宗主として、当然緙絲術がますます発展し、柴田家の技が最高かつ最大限に継承され、世代を重ねるごとに向上することを望んでいた。
「では母に代わって、爺様のご厚意に感謝申し上げます」水野日幸の目元と眉に喜びの色が浮かんだ。
「もうすぐ一家になるのに、そんなに堅苦しくしなくていいよ」柴田玉平は怒ったふりをした。
「柴田叔父」水野日幸は機転の利く子で、すぐに呼び方を変えた。「でも弟子入りの件は、母に確認して同意を得る必要があります」
「じゃあ今すぐお母さんに電話して、早く聞いてみなさい」柴田玉平は待ちきれない様子で催促した。
水野日幸は愛らしく笑って「承知しました」
「この子ったら」柴田玉平は目の前の機転の利く少女を見て、慈愛に満ちた笑みを浮かべた。
おそらく彼を身内として受け入れ、警戒心を解いた少女は、いつもの冷静で距離を置いた態度を失い、本当の十代の青春溢れる少女の姿を見せていた。
水野日幸は、自分が技を学びに来て、母のために師を探したつもりが、自分のために師公を見つけることになるとは思わなかった。
出雲絹代は柴田爺様が彼女を弟子にしたいと聞いて、驚きと喜びの後、半信半疑で「あなた、お母さんに冗談を言っているの?」
彼女は当然柴田玉平のことを知っていた。服を作る彼女は、様々な素材や工芸について知る必要があり、緙絲術も彼女にとって馴染みのないものではなかった。
柴田爺様は彼女が尊敬する職人でもあった。